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禁断兄妹

第60章 嵐の夜③



「‥‥ツトム、積んである中で一番でかい段ボールと台車持って上がってこい。嬢を車まで運べ」


取り出した携帯に告げる修斗の声に
私は箱に詰められて運ばれると知る。

確かにこの足では
支えられたとしてもまともに歩けそうにない。

電話を終えた修斗がドアに向かって歩きだした。

嫌な予感がした。


「修斗」


立ち止まった背中


「どこ、行くの‥‥」


一緒に帰るんじゃないの


「ここまでコケにされて黙ってられるか‥‥落とし前つけさせに行くんだよ‥‥」


地獄のような低い声が聞こえた。


「修斗、まさか───」


「同じ目に合わせてやる‥‥同じ苦しみを、あのクソガキにも味あわせてやるんだよ‥‥」


赤黒い怒りの炎がその後ろ姿から立ち上るのがはっきりと見えて
安堵しかけた身体が再び奈落の底へ突き落とされる。

柊君の美しい顔や身体を傷つける恐ろしい光景が脳裏に浮かんだ。

まさか私と同じように
柊君の仕事を奪う気なの

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