それでも好きな人
第8章 甘い味
康太「わぁ~美味しそう」
香苗「ありがとう」
康太「これっ、運びますね」
香苗「お願い」
出来上がった料理を
次々と居間に運んでいく康太
料理に気を取られ美鈴と拓真がなかなか
戻らない事に
気づく事はなかったが…
香苗「よしっ、出来た」
康太「…あの」
香苗「何」
康太「残念でしたね、赤ちゃん…」
香苗「えっ?」
康太「間違いだったんですよね」
香苗「…えぇ」
康太「でもまだ若いしチャンスはあるか
ら諦めず頑張ってください」
香苗「…ありがとう」
康太「あっ、それも運びますね」
香苗「お願い」
平静を装い
その場は流したが
香苗の心はざわついていた
何故…
何故、家族しか知らない秘密を康太が
知っているのか
考えられる理由は一つ
美鈴か拓真、どちらかが口外した
拓真が生徒である康太に話したとは考え
られず
そうなると…
香苗「美鈴…か…」