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華のしずく~あなた色に染められて~

第25章 【花屑(はなくず)~華のしずく~】

「義父上を謀殺したのは宰相殿の傅役であった安良井と申す者だそうな。宰相殿は自らの家臣が義父上を討ったことをいたく恥じ、切腹されたとのこと」
「何と―」
 寧子は息が止まりそうになった。あの秀継が亡くなったなぞ、信じられない。
 その瞬間、寧子の脳裡に十日前、庭先で見せた別れ際のあの儚い笑顔が浮かんだ。あのときに感じた胸騒ぎは哀しいことに現実となってしまった。しかも、最悪の形で。

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