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　実際、信成の珠々への寵愛は並大抵のものではなかった。初めて彼女を見初めて城へ連れ帰って以来、寝所へのお渡りは毎夜のことだし、日中も執務のとき以外は暇があれば奥向きに来て、珠々の傍にいる。
　家老の貞親初め重臣たちもそのひたかたならぬ寵愛ぶりには瞠目している。だが、さしあたって、信成が珠々に溺れることが城主としての日々の務めを怠らせるといった事態は招いてはいないので、黙認しているのだった。