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華のしずく~あなた色に染められて~

第27章 【月華-月姫(TSUKIHI)-~華のしずく~】幻の蝶

 月姫の懐には、あの朱塗りの小箱がしまわれていた。正室定子の毒牙からも逃れた今、何ゆえ、月姫が自ら生命を絶ったのか、秀信にはその真の理由が判らなかった。月姫の亡骸を腕にかき抱(いだ)き、秀信は茫然とその安らかな死に顔を見つめた。その顔は、あたかも微笑んでいるかのようである。

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