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華のしずく~あなた色に染められて~

第28章 【剣(KEN)~華のしずく~】 運命の邂逅

「親父さん」
 青年が掠れた声で声をかけると、店の奥に座っていた主(あるじ)がゆるりと立ち上がった。
「どうした、若いの」
 だが、問いかけとは裏腹に、主は青年が既にその物に魅せられてしまったのに気づいているようだ。
「お前さんも、なかなか眼が高い。それは何でも珍しいお宝だそうだ」
「珍しい―、何か謂われがあるのか」
 青年が訊ねると、主は大仰に肩をすくめた。「そんなものは、儂(わし)は知らんよ」

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