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華のしずく~あなた色に染められて~

第30章 【剣(KEN)~華のしずく~】 闇に喚ばれし者

~闇に喚ばれし者~

 決行は夜だと、龍伍は毅然とした口調で言った。浅太は最早、自分が何を言おうとも、龍伍の固い決意を変えることはできないと知った。ただ一人、茫然と本堂から庭に出ると、六月の空が蒼く果てなくひろがっている。梅雨の合間の晴れ間だった。本堂では、握り飯を食べる子どもたちの賑やかな話し声が聞こえている。それに混じって、時折、龍伍の低い笑い声が響いてきた。

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