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華のしずく~あなた色に染められて~

第1章 【華のしずく】~出逢い~

 男が呟くと、珠々を見返してきた。氷のようなその眼(まなこ)、まるで射竦められてしまうかのような刃(やいば)の視線、もし眼だけで人を殺めることができるのならば、この時、珠々は間違いなくこの男に殺されていただろう。
―この男は怖ろしい。
 珠々は訳もなくそう思った。
「だが、その強情さがいつまで続くかな?」
 男はいかにも面白そうに言うと、珠々を案内してきた老女に顎をしゃくった。
「娘を連れてゆけ」

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