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華のしずく~あなた色に染められて~

第1章 【華のしずく】~出逢い~

 老女は男に深々と一礼すると、珠々を促した。珠々がそのまま立ち上がって去ろうとすると、老女が鋭い声でたしなめた。
「お館様の御前でありますぞ」
 頭を下げろと言っているのは判っていたけれど、珠々は昂然と頭を上げ、顎を心もち持ち上げた。老女が小さく舌打ちをして、珠々の頭を上から押さえつけようとする。それを見た男は益々興味深げな眼で二人のやり取りを眺めていた。

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