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　普通、一国の城主ともなれば、立派な湯殿を構えるだろうに、このような岩風呂を好むとは。そんな思考に耽っていると、珠々は楓に風呂に入るように命じられた。それは有無ほ言わさぬ強い口調で、珠々は逆らうこともできなかった。
　楓には下がって貰うように頼むことを条件に、珠々は風呂に入った。白く濁った湯はかすかに硫黄の匂いが鼻をついた。やはり、天然の温泉なのだろう。珠々の白い裸身がほの白く湯けむりに浮かび上がる。それは、まるで花の蕾のように初々しい裸身であった。