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華のしずく~あなた色に染められて~

第7章 【雪の華~華のしずく~】二

「殿には、どこぞに想われる方がいるのでしょうか」
 庭を見ていたかと思われた徳姫が突如として、ついに振り向いた。
 その刹那、柏木が息を呑んだのが徳姫にも判った。
 徳姫の大きな瞳に、露のような雫が宿っていたのだ。幾ら想っても、振り向いてはくれぬ良人―、その理由(わけ)を徳姫が良人に好きな女人がいるせいだと思い込んだとしても無理はない。

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