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華のしずく~あなた色に染められて~

第1章 【華のしずく】~出逢い~

―とと様、かか様。
 珠々は心の中で亡き父、それに家で自分の帰りを待ち侘びているであろう母を呼んだ。 続いて幼い妹や弟のあどけない顔が次々と浮かんでは消えていった。
「お願い、助けて」
 珠々の白い頬をひと雫の涙が流れ落ちてゆく。その涙を唇で吸いとり、男が耳元で呟いた。

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