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華のしずく~あなた色に染められて~

第8章 【雪の華~華のずく~】 三

 徳姫の胸中を知ってか知らずか、貞心院は徳姫にそっと手を差しのべた。
「いらっしゃい」
 貞心院に手を取られ、導かれるままに行った先は、小さな座敷であった。何となく作りが本丸の奥向きの徳姫の部屋に似ている。
「こちらへ移ってきて、以前(まえ)と同じになるように少々手を入れさせたのですよ。やはり長年住み慣れた場所と同じ方が住み心地も良くて」

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