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華のしずく~あなた色に染められて~

第8章 【雪の華~華のずく~】 三

 貞心院は泣いている徳姫の背を軽く叩き、まるで母親が子をあやすように優しく言った。
 貞心院の身体からは、ほのかに良き香りが漂ってくる。それは青龍の国にいる実の母とも乳母の柏木とも違っていて、何かの香(こう)のような、得も言われぬ匂いやかなものであった。
それでいて、温もりを感じさせる懐かしさがある香りで、包まれていると心が癒やされるようだ。
 貞心院は徳姫の背を優しく慈愛に満ちた様子で撫でた。

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