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華のしずく~あなた色に染められて~

第8章 【雪の華~華のずく~】 三

「お義母上さま―?」
 驚いた徳姫が思わず声を上げると、やわらかな手が徳姫の髪を優しく撫でた。徳姫はとうとう耐えきれず、涙を零した。涙は堰を切ったように溢れ出て、止められない。
 徳姫は泣きながら訴えた。
「私は信晴さまの形だけの妻です。それは、信晴さまのお気持ちもよく判ります。でも―」
「信晴どのの気持ち?」
 貞心院に顔を覗き込まれ、徳姫は頷いた。
「私の義父(ちち)が―秀吉さまが信晴さまのお父君を」

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