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華のしずく~あなた色に染められて~

第8章 【雪の華~華のずく~】 三

 繊細そうな外見には似合わない、墨の跡も濃い男らしい堂々とした手蹟である。
 もしかしたら、自分は信晴の真の姿を見ようとはしていなかったのかもしれない。徳姫は、信晴の存外に男らしい真太い字を眺めて
そう思った。
 信晴から贈られた紅梅の花にそっと顔を近づけると、清々しく甘やかな香りが鼻腔をくすぐる。
 それは春という新しい次の季節の訪れを徳姫に予感させた。
                 (【雪の華~華のしずく~ おわり】)

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