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華のしずく~あなた色に染められて~

第9章 【蜩(ひぐらし)~華のしずく~】

 およそこの戦国乱世に武門の女子と生まれて、生涯に落城の憂き目を一度たりとも経験しなかった者はおりますまい。それほど、この時代、人と人があい争う、戦の絶えなかった殺伐とした世にございました。私の父は亡き朱雀の国の領主佐竹信成さまにお仕えした足軽でございまして、私も物心ついた時分より、お城の奥に婢女としてお仕えさせて頂きました。

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