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華のしずく~あなた色に染められて~

第9章 【蜩(ひぐらし)~華のしずく~】

 もし、お方さまにあの折、お逢いすることがなければ、幼い私はとうに生命の火尽きておったことにございましょう。言わば、お方さまは私にとって生命の恩人に等しきお方にございます。この話は朱雀のお城が今にも燃え尽きようとしていた、落城間際のことにございます。つまらぬ昔語りなれど、今しばしお付き合い願いたく存じまする。

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