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華のしずく~あなた色に染められて~

第9章 【蜩(ひぐらし)~華のしずく~】

 おふうが泣くことにも疲れて立ち止まろうとしたその時、ふわりとかぐわしい香りがおふうの小さな身体を包み込んだ。やがて、頭にそっと置かれた優しい手の温もり。驚いて、うつむけていた面を上げると、眼線の高さに、美しいひとの顔があった。
「どうしたの?」

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