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華のしずく~あなた色に染められて~

第9章 【蜩(ひぐらし)~華のしずく~】

 鈴を転がすような声、というのは、このようなことを言うのだろうか。澄んだよく響き渡る声の持ち主は、また天から舞い降りた人のように美しかった。白磁のようなすべらかな肌に黒曜石の瞳、たとえるなら花のような可憐な美貌であった。年の頃はまだ十代、おふうと姉妹といっても良いほどの歳であろうが、早くも咲き誇る大輪の花を思わせるような美しさである。
 おふうは眩しげに美しい人を見つめた。そのひとがにっこりと微笑む。おふうは勇気を出して、訊ねた。

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