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華のしずく~あなた色に染められて~

第9章 【蜩(ひぐらし)~華のしずく~】

「正直な子ね」
 こんな高貴な方がついこの間まで、おふうと同じように働いていた―というのも驚きだが、こんな風に手を引かれて歩いていること自体が信じられない。
 一体、どなたなのでろあうかと、おふうが思案していた時、廊下の向こうから慌ててやってくる人影があった。何と、その人物こそ、おふうが探していた楓であった。
「お方さまッ」

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