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華のしずく~あなた色に染められて~

第12章 【残菊~華のしずく~】序章

 五喜は眼を見開く。道理で、屋敷内が何とはなしに緊張感に満ち、家来衆や侍女たちもいつもと違う様子だったはずだ。
「私はこの国に参った折、一度しかお館様にお目にかかったことはございませぬ。お館様は、どのようなお方なのでしょう」
 近隣諸国ばかりか、各地を平定し、天下統一も最早時間の問題だと云われている実力者秀吉はこの時、三十歳。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いであった。

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