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華のしずく~あなた色に染められて~

第13章 【残菊~華のしずく~】一

 むしろ、我が家のような居心地の良い温かさがあり、時寿をはじめ、妻のおこんの方(紺姫)も実の母のように五喜を可愛がってくれた。時寿とおこんの方との間に生まれた鶴や清治郎、徳とも歳が近く、本当の妹弟のようにして育ったのだ。殊に今年で漸く三歳になったばかりの末の徳は、舌足らずな口調でおませなことを言っては、五喜を笑わせる。五喜も実の姉のように自分を慕う徳を可愛がっていた。

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