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華のしずく~あなた色に染められて~

第13章 【残菊~華のしずく~】一

 が、改めて時寿に言われてみれば、確かに五喜は「人質」であった。妙なようだが、この国へ来て初めて、五喜は我が身が人質であることに気付いたのだった。
「つまり、お館様の監視の眼がゆき届く場所に、お城にゆけとの仰せなのでございますね」
 五喜が念を押すように訊ねると、時寿の顔が更に曇り、口ごもった。
「人質としての務めというのは―」

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