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華のしずく~あなた色に染められて~

第13章 【残菊~華のしずく~】一

 五喜が小首を傾げる。十六の五喜は実際の年齢よりはいつも幼く見られる。当人はそれが何よりの悩みの種なのだ。時寿はそんな五喜の稚い表情を苦渋に満ちた表情で眺めた。
「有り体に申せば、側室としてお館様のお側近くにお仕えするということなのだ」
「え―」
 五喜の眼が驚きに見開かれた。
「そのようなお話、聞いてはおりませぬ。それに、時寿様、私は時治様と」

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