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華のしずく~あなた色に染められて~

第18章 【花紋~華のしずく~】 一

 城にいた時分は庭先で小鳥たちを集めていたのだが、新しい館に移って以来、館の外まで出かけることになったのが唯一の変化であったといえよう。湖はいつも蒼く澄んだ水を湛えており、その岸辺には桜の大樹が一本、植わっていた。樹令も定かではないその樹はこの季節、早くも薄紅色の花をつけ始めていて、既に半分ほどの花が見事に開いていた。

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