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華のしずく~あなた色に染められて~

第18章 【花紋~華のしずく~】 一

 すべて食べ終えると、目白はまた、飛び立ってゆく。
「今度は遅れないようにね」
 目白は桜の樹の枝にもう一度止まって麗子の方を見てから、すぐに羽ばたいていった。
その拍子に、たっぷりとしたうす桃いろの花をつけた桜の枝が重たげに揺れ、はらはらと花びらがわずかに散り零れた。
 麗子には何となく、目白の言葉が判るような気がした。恐らく、あの目白は〝ありがとう〟と礼を言いたかったに違いない。

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