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華のしずく~あなた色に染められて~

第18章 【花紋~華のしずく~】 一

 怪しい者かもしれない、そう思って身構え、勇気を振り絞って後ろを振り向いた。
「俺は女が泣いているのを見るのは好みではないのでな」
 差し出された大きな手のひらには、手ぬぐいがあった。
「お館さま―」
 麗子の顔が強ばった。何と、彼女の前に立っているのは、良人信斉であった。

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