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華のしずく~あなた色に染められて~

第18章 【花紋~華のしずく~】 一

 揶揄するような響きの言葉には、けして侮蔑は込められてはいなかった。しかし、麗子は咄嗟につうむいた。〝変わり者の姫〟、やはり信斉は自分のことをそんな風にしか見てはいなかったことを今更ながらに思い知らされたのだ。信斉は先刻から、麗子が鳥たちに餌を与えているところをずっと見ていたに相違ない。
 再び涙が溢れてきそうになり、麗子は懸命に耐えた。そのか細い肩がわずかに震えた。

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