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華のしずく~あなた色に染められて~

第19章 【花紋~華のしずく~】 二

 鳥が麗子を見る。
 麗子も鳥を見る。
 両者はしばし、無言で見つめ合った。
 どこからか声が聞こえた。
―生きなさい、生命の限り、精一杯花開くこの桜のように生きなさい。
 そう、自分は、以前、この桜の花のように凛として生きたいと願っていた。湖のほとりに人知れずひそやかに咲くうす紅いろの花たちのように。

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