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いつまでも、何年経っても切なくて

第3章 初めての...

涼ちゃんは高校を卒業した。もちろん遥さんも。


遥さんは前に見た時より、綺麗さを増して大人の女性に見えた。


『涼ちゃん、遥さん卒業おめでとう。それから合格おめでとう。』


隣に住んでいるのに、響の家の玄関を使用することがほとんど無くなっていた私は、涼ちゃんと顔を合わせることがなかった。


だから、会った時にちゃんとおめでとうって言いたいと思っていた。


涼ちゃんは昔から言っていた。俺はエリートになる、って。


なんともアバウトな夢だと思っていたけれど
一流大学に合格した今、着々と夢に近付いているのが凄いなと思う。


少しの間、涼ちゃんの話を聞いていた。


涼ちゃんの大学は実家から通えるが
遥さんの通う大学は少し遠いらしい。


だから、遠距離になるんだ、と。
一人暮らしをさせるのは心配だから、本当は行かせたくないんだよ、と。


涼ちゃんの辛そうに笑う顔を見て、私は切なくなってしまった。

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