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とある鬼調伏一族の元旦

第3章 夜の初詣

唇がゆっくりと離れていき、目を開くといつもと変わらない蒸苑蒔の笑顔があった。

「さ、冷えますから暖かい甘酒を飲みに行きましょう」

(え?)

まるで何事もなかったような態度に、たった今起こったことが夢だったのではないかとさえ思ってしまう。

だけど、灯篭の明かりが照らした蒸苑蒔の後姿。

耳が真っ赤だ。

平静を装っていたのも、彼にとっては必死だったのでは?と思うと無性に可愛く思えてきた。

「蒸苑蒔様!」

彼の後を追いかけ、手を掴んだ。

さっきよりも暖かく感じたのは気のせいじゃないはず。

「私も、蒸苑蒔様が好きです」

掴んだ手をぎゅっと握ると、応えるように握り返される。

その手は、帰り着くまで繋がれていた。





おわり
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