Take me
第9章 9
「は…帰るって何処に?」
「俺の家」
「は、は?何言ってんだよ、帰ったらお前また…」
「良い、大丈夫だから。」
分かってる
今あの家に帰っても何も変わらないこと
きっと傷が治ることはないだろうけど
「ちょ、お前、待てって!」
帰る準備をする俺の手を、瑛士が止める。
「帰らせて。帰りたいんだよ。
お兄ちゃんのこと心配させるくらいなら、それでもいいから。
それにこれ以上ここに居たら、俺お兄ちゃんに連れ戻された時殺されちゃうかも」
苦笑しながら言う俺に、瑛士は微笑足りともしてくれなかった。
ただ、苦しそうに。俺より切ない顔をしてた。
「…じゃあ、一生ここに居れば良いだろ…」
瑛士の消え入りそうな声に
やっぱり、真実を君に伝えるべきではなかったと後悔した。
「ありがとう、また学校でね!瑛士。」
俺は家に帰ることにするよ