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Take me

第10章 10



「ん…えい、じ…」

「起きたか?」



目が覚めて起き上がると、校庭が赤に染まっている。


「えっと、夕日ってことは」
「もう放課後だ。昨日はゆっくり寝られなかったんだろう?」


その通りだ。


昨日はあの後、廊下からする物音ひとつひとつに怯えて何度も目が覚めてしまった。


「俺、男のくせに弱いからさー」
「関係ねぇよ。誰でも怖い」


瑛士…


きっとこのまま此処に居ても、瑛士は「帰ろう」と言い出さないと思う。

それを言うくらいなら、ずっとここに居ようと思ってるんでしょ。


俺をあの家に帰したくないんでしょ?



「でさ〜聞いてる?そんで山田が提出しなかった…」


さっきからずっと喋ってる。
俺に帰ろうって言わせないように。

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