Take me
第11章 11
「ち、千晃?これは違うのよ?
ひ、紘夢が悪いことをして、それでっ…」
「…悪いこと?家族を殺せるくらい悪いことを、紘夢がしたんだ?」
お兄ちゃんが俺に手を差し出す
その手をゆっくりと取った
「ち、違うのよ…!ねぇあなた!」
「あ、ああ。千晃、分かってくれ!お前の信用を失うようなことは何もしていない!」
「血、階段にあったよ。誰の血なの?父さん」
俺を立たせては、肩を支えてくれた。
「あれは俺のだ。紘夢にやられて、な…」
「おかしいね?そのわりには怪我してないみたい」
こんな状況の時まで僕を悪くする
二人は気まずそうに俯いた。
「ひーくん、行こうか」
「…うん」
一刻も早くこの場を去りたい、そう思った時
「おい!紘夢!俺たちは何もしてない、そうだよな?
さっきのは少し度が過ぎた!謝る!だがしかし…」
「そ、そうよね?!私も少し言い過ぎてしまった場面はあったかも知れないけど!貴方を愛しているからなのよ?」
「あ、そ、そう…」
お兄ちゃんが俺の口に手を当てる。
そうされていなかったら俺はきっと、肯定の意を示してしまっていただろう。
「父さん母さん、ごめん。もう既に僕の父さん達への信頼は消え失せたみたいなんだ。もう何を言ってもしても無駄だよ。
紘夢は僕が預かります。しばらく距離を置きましょう」
「そ、そんなぁっ…ううっ…千晃ぃ!!」
「千晃!待ってくれ!俺たちはお前の為に!」