Take me
第12章 12
「…ありがと」
「別に」
手を繋いで隣を歩く瑛士。
いつもならこんな事しないけど、俺の手が震えているのを感じたからだろう。
それにもう、辺りは暗闇に包まれていて人の姿も
それほど多くなかった。
「あのさ、俺がお兄ちゃんの家から逃げた理由
もうひとつあるんだ。」
なに?
そうは追求されなかった
黙って俺の話を聞いている
「俺、お兄ちゃんの事
好きでいるのやめようと思う。」
「そうか。」
瑛士は動じなかった
ただ、俺がそうしたいのならすれば良い。
繋がれた手がそう物語っていて
俺は決心したつもりでいたんだ。