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Take me

第15章 15


あの帰り道から二週間


「ねぇ瑛士」
「んー?」
「俺さ、大切な写真をあの家に忘れて来た。だから取りに行ってくる」
「今から?」


頷く俺に戸惑う瑛士の表情。
当たり前だ、もう夜の9時だし。



「そして、話をして来ようと思う」





すべてリセットして、また家族をやり直す覚悟ができた。


悩んだよ、悩んだ。



でも今思えば、こんなにも簡単だった。
何故俺は気付けなかったんだろう?




あの家族が、俺の家族が、

今までの醜い記憶を消し去って、また一から始めようと手を差し出すのなら、



その手を取る他ないじゃないか。





それは、お父さんお母さんにとっても
お兄ちゃんにとっても



俺にとっても


一番好都合な条件。



それは僕が、何よりも望んだものだから。





もう二度とこの思いが、お父さんやお母さんの目の前で零れたりしないように。


大好きなお兄ちゃんを困らせたりしないように。
嫌われないように。



今度は、ちゃんと蓋をしておくね。




この思いごと、消し去る事は不可能。

もう分かったんだ。



だからせめて密かに





お兄ちゃん、大好きだよ

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