Take me
第15章 15
家の前に人がひとり立っている。
お兄ちゃんだ…
久しぶり。
「あ、紘夢!久しぶり!」
そう言って頭を撫でてくる。
変わらないね、そういうとこ。
「返信くれて嬉しかったよ」
「だいぶ、遅くなっちゃったけどね。
ごめんね、お兄ちゃん。」
「良いんだよ。」
優しい微笑みに、懐かしさが募る。
それと共に、密かな感情が込み上げてきてしまう
あぁ、もう、好きって。
告白したこともあって、少し気まずさが漂うけれど、何よりお兄ちゃんが普通に接して来てくれたことが救い。
表情に少しだけ戸惑いが現れているけど、多分俺じゃなかったら気付けないと思う。
さすがお兄ちゃんだって思った。
「さぁ入ろうか」
「話ってなに?」
「僕も分からない、けど…大丈夫だよ」
「…うん」
なにが大丈夫なのかは分からないけれど、
お兄ちゃんが大丈夫と言うから、本当に大丈夫な気がした。
きっとこの時のお兄ちゃんも、俺と同じように
昔みたいに
また、みんなで笑い合えると思っていたんだと思う。