Take me
第16章 16
チッチッ
時計の秒針が進む音、静かなこの部屋にはとても大きく響いて聞こえる。
テレビの前に、昔の家族写真が飾ってある。
俺がまだ小学5年生の頃。
皆で近所にある大きな公園へ、バドミントンをしに行った時のものだ。
みんなとびっきりの笑顔だ…
昔はあんなに笑ってたんだな。
「ねぇ、アルバムってどこにあるの?」
「アルバム?どうして急にそんなもの?」
自分の部屋にもあるけど、それは友達やお兄ちゃんとの写真しかない。
家族写真が見たい、まだ皆仲が良くて、笑っていた頃の。
「ちょっと昔の写真が見たくなった」
「んー、アルバムね…ちょっと待っててごらん」
お兄ちゃんはリビングから出て、どこか違う部屋へ探しに行った。
お母さんがいくつもシャッターを切っては現像して、俺らに見せてはしゃいでいた記憶がある。
だから多分残ってると思うんだけど…
それとももう…
「捨てちゃったかな」
俺が写ってる写真なんて。
「あったよ!家族写真?」
「あ、うん!ありがと!」
良かった。
嬉しい、ありがとうお母さん。