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Take me

第16章 16



ページを次々と捲っていく。
それを隣でお兄ちゃんも、目で追っている。


「ひーくんだよ、これ。可愛いなぁ」
「ちょ、こんなところまで撮らなくていいのに…」



お兄ちゃんが指さした写真は、俺がトイレをしている写真。
その隣に、"紘夢が初めて一人でトイレできました!"とペンでメモされていた。


他のすべての写真にも、お母さんの字でメモが残されてる。



「あ、見て見て!この時楽しかったよね!」
「覚えてるんだ?」

おぼえてる。

家族皆で、バーベキューをした時。
俺は両手にピーマンの刺さった棒を持って、お兄ちゃんはそんな俺の肩を抱いてピースしている。


「ひーくん、ピーマン好きだったよね」

珍しい小学生だなって思ったよなんて笑われた。

今となってはピーマン、大嫌いだけどね…




「これ、入学式!覚えてるよ、懐かしい」
「うん、ひーくんの制服感動したなー」
「卒業式では泣いてたもんね」


お母さんだってお兄ちゃんほど泣いてなかったのに。


まぁ、この時はもう俺の気持ちにお母さんは気付いていたからってのもあるかも知れないけど。




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