Take me
第2章 2
読み始めた
お兄ちゃんよりも最初に、お母さんが泣いてた。
そうだ、確かこの人も涙脆いんだっけ。
ボロボロと涙を零すからお兄ちゃんも泣くに泣けないのだろう。
お父さんがお母さんを支えてる。
こんな光景も珍しいかも知れない。
お兄ちゃんはお父さんお母さんにとても愛されているから、こんな光景が見れるんだろうね
あ、涙
お兄ちゃんが涙を流してる
久しぶりに見たなあ
最後に見たのは俺の中学の卒業式
なんで親でもないお兄ちゃんが泣くんだって笑った記憶がある
お兄ちゃんの声が途切れる
手紙を畳み出したからきっと終わったのだろう
ごめんね、お兄ちゃん
あんまり聞いてなかったかも。
「紘夢」
不意にお兄ちゃんの口から紡がれる俺の名前