Take me
第17章 17
ガチャ
玄関の扉が開かれる音がした。
瑛士だろう。
時計は5時を示している。
横になっていたベッドから降りて玄関へ向かう。
結局寝れなかった…
「…紘夢」
「おかえり、瑛士」
「ん…」
俺の横を通り過ぎて、リビングへ向かう瑛士。
冷たい風が吹き抜けた気がした。
「お腹減ってない?もし減ってるなら作るよ」
「いらない」
「何か飲む?昨日新発売ののジュース買ってきたんだ」
「飲まない」
「…外、暑かった?朝方だからまだ涼しいか。今日は結構気温が「紘夢、お前何も聞かないのな?」
聞ける訳ないだろ?
もし俺が、「どこで何をしてた?」
なんて聞いたら瑛士は…
俺から離れて行く。
だから、
「良いよ別に。俺は大丈夫。
瑛士がいつ、どこで、誰と、何をしていようが俺には関係ないし、俺が何か言える立場じゃないし。
だから、大丈夫だから…」
「何が、大丈夫?」
「えっ…」
「お前、俺の恋人じゃねえの?
関係無いってなんだよ。
…どうでもいいのかよ」
嘘だ。
ずっと、この家で、俺と、過ごしていたいって思って欲しい。
俺のことだけ愛して欲しい。