Take me
第19章 19
「大丈夫っすよ」
「ありがとう、瑛士くん」
こんなに穏やかに、だけどめちゃくちゃ嬉しそうに笑う。
こんな笑顔を見せられたら、たとえ敵わない程の恋敵でも憎めない。
「ペン、持ってます?」
「ああ、あるよ」
俺は千晃さんからペンを受け取って、ファミレスのナプキンに住所を綴る。
「これ、俺ん家ですから」
「ありがとう、助かるよ」
「何を送るつもりなんですか?」
「それは秘密にしておくよ、君にも紘夢にもね」
サプライズって訳ね。
「じゃあそろそろ僕戻らないと」
12時40分。
「今昼休み中だからさ、もっとゆっくり話したかったよまた今度ね」
「あ、はい」
「それじゃありがとう。紘夢をよろしく頼むよ」
そう、紘夢の名前を切なそうに呼んでは手を振り去って行く。
「分かりました」と言って、安心させてあげれば良かったかも知れない。
すげぇ心配してた。
泣きそうなくらい苦しそうな顏してた。