Take me
第19章 19
「ごめんね、こんなとこ呼び出して。
遠かったでしょ?」
「別に遠くもないですよ」
俺は注文したカレーを前に千晃さんの話を聞く。
「ふっ、食べて良いんだよ」
「すいません」
話し始めた千晃さんの前で、食事をするのは失礼かと戸惑っているのに気付いてくれたようだ。
「それで?話ってどうしたんですか」
「うん、紘夢誕生日だったじゃない?」
「ああ、はい」
「今年は忙しくて何もしてやれなかった」
この人、ちゃんと覚えてたんだ。
いつもなら“お兄ちゃんになにを貰ったー!”と喜ぶ紘夢の姿があったが、今年の誕生日それを目にすることはなかった。
「だから、だいぶ遅れてしまったけどプレゼント渡したくて」
「それでなんで俺に?」
それは直接紘夢に言った方が良いんじゃ。
「今は紘夢とほら、ね。僕と会いたくはないだろうから。 君の家に宅急便で送りたいんだけど…迷惑じゃなかったかい?」
ああ、なるほど。
「住所が知りたいってことですか?」
「嫌だったら全然構わないよ、個人情報だしね。それに荷物は大きいんだ」
この人はそんな事一々気にして、それでも紘夢を喜ばせたくて。