Take me
第9章 9
「あの、迎えってどういう事ですか?」
フリーズした俺たち。
先に言葉にしてくれたのは瑛士だった。
「うん、ごめんね瑛士くん。
ちょっと紘夢と二人きりにしてくれるかい?」
「あ、はい…」
瑛士がゆっくりと席を外した。
俺の顔を見て頷く。
「お兄ちゃん、なに?」
そう聞くと、さっきより剣幕な表情で話し始めた。
「紘夢、お前もう一ヶ月近く家に帰ってないんだろ?」
なんでそれを知ってるんだろう…
「母さんに聞いた。母さんたちをよろしく頼むって言ったのに…どうして、何故帰って来ないんだい?」
「そ、れは……」
言えない
言える訳ない
「母さんたち、すごく心配していたよ?」
ほら。
言えるはずないだろう。
お兄ちゃんを騙せる程、良い母親の演技が上手なんてね。
俺にしか見せない母親の姿を知らせたら、貴方は悲しむでしょう?