寡黙男子
第4章 二歩目を探る *学の世界*
一緒に帰れない俺が、そんなことを亜紀乃に指図する権限があるのだろうか…
心配だから言っていることだけど、そんなに干渉したらいやなんじゃないだろうか…
色んな考えが頭を巡る。
「学…?何言い掛けたの?」
「いや…ごめん…何でも無い」
俺はそれだけいって、今度は本当に亜紀乃から離れた。
こんなに…
思い悩んでいるのは初めてかもしれない。
頭の中がいっぱいで、情報の処理が追いつかない。
「………は…あ…」
思わず出た溜め息。
どうにもこうにもよく分からなくなって、頰を掻いていたら、聞き覚えのある声が聞こえてきて、俺は振り返った。