寡黙男子
第4章 二歩目を探る *学の世界*
「…………あった…………」
片手は亜紀乃の手をしっかり握ったまま、机に手を入れて、亜紀乃からもらったキーホルダーを取り出した。
「あれ?それ、どうしたの?」
その質問に少し後ろめたさを感じた。
「……付けるところが壊れたから…」
「えっ…?」
「家で直そうと思って」
「あっ…そうなんだ…」
絶対になんでプレゼント壊してるんだよとか思ってるよな…
「……ごめん」
悪気はなかったとはいえ、こんなに大事なもの壊すなんて有り得ないよな…
「…帰ろう」
時間も取らせちゃったし…
「ねぇ…あの…いいんだけど…別に明日でも良かったんじゃない?」
亜紀乃の言葉に、俺は耳を疑った。
そして、思わず、強く亜紀乃の手を握った。
「…………ダメだよ」
俺の気持ちって…
あんまり亜紀乃に伝わってないのかな…
「……亜紀乃に…もらったものだから…」