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寡黙男子

第2章 はじめの一歩から *学の世界*

ていうか、そんなことより…



「……………それ」



俺は平沢さんの持っている制服を指差した。



「はい?」


「…………乾燥機入れる?」


「えっ…」



あ、でも、都会の雨って汚いし、洗濯してからの方がいいのか…?



「そんなことより!」


「……………?」



突然大きな声を出した平沢さんを見上げる。



「どっ、どうして誕生日だって言ってくれないのっ!」


「………………何で?」



あれ、もしかして…
そういうことって



「伝えなくちゃいけなかった?」


「っ…そりゃあっ…」



よく分からないけど…



「………何で?」



言っても何にもなんなくないか?



「祝いたいじゃん…」



ぽつりと呟いた平沢さんの言葉に耳を疑った。


また…幻聴か…?俺の勘違い…?



「…………平沢さんが?俺を?」



確めずにはいられない…



「あっ、当たり前でしょっ!!!!他に誰がいるのっ!」



当たり前───…
その言葉が異様に嬉しくて、固まってしまった。

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