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寡黙男子

第2章 はじめの一歩から *学の世界*

「違うよっ…!!」


「………別に他のもあるから。」



振り返って部屋から出ようとすると、平沢さんが俺に寄ってきて俺の制服を掴んだから、またドキッとした。


ウネウネとカーブした肩までの茶色い髪。
微かにシャンプーの香りがする。



「………好きだから…」



ドクンドクンと、びっくりするくらい全身に血が巡った。



「あのっ…ココア好きだからっ…」



あぁ…ココア…がね。
再びマグカップを差し出しながら、良かった…と複雑な気持ちで思った。



「あの…ありがとうね」


「…………うん」


俺は、そのままそこにいられなくなって、また日に当たる床に腰を下ろした。


ドキドキするから平沢さんから離れたけど、やっぱり傍にいたいという矛盾した気持ち。


こっちの方が暖かいから、来れば?と言えばいいけど、勇気が出ずにわざとココアの湯気で眼鏡曇らせた。


そしてその曇りを拭くふりをして眼鏡を外し、平沢さんの方を向いた。


眼鏡を外したら、見えないから…少し、言いやすくなる。


「………来る?」


俺は傍で手をトントンとやった。


「………ここ、暖かいから。」


もっと…傍にいたいから…

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