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寡黙男子

第2章 はじめの一歩から *学の世界*

「うん、行く」


平沢さんが隣に座わると、またシャンプーの香りがした。


今度は多分紅い俺の顔を隠すように眼鏡を曇らせる。



「高橋くん…」


「………なに?」


そして、また、眼鏡の曇りを拭くふりをして外す。



「……あの…誕生日…おめでとう」


「……………ありがと」



なんだこれ…。
好きな人からおめでとうって言われるのって…こんなにうれしいものなのか…?



「ご存知の通り、さっき知ったから、プレゼントとか全く用意してなくて…」



平沢さんはそう言いながら、むぅっと口をつぐんだ。


かわいい…



「あっ…でも用意するからっ…あのっ…何かほしいものあるっ…?」


「………………別にいいよ」



プレゼント…今もらってる最中だし。



「そんな訳にはいかないよっ…」



え…?



「…………いかないの?」



そういうもんなのか…
今まで付き合ったことのない俺には分かんない…



「欲しいものとかないなら、なんかして欲しいこととかでもいいしっ…!」


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